石鹸への探求の始まり~自分の肌に合う石鹸を求めて~

アーティストとして活動していた田嶋さんが 石鹸づくりをはじめたきっかけは、市販品への違和感だった。メディアでよく見る人気商品が、1万円近くする一流品が、どうして肌にしっくりこないのだろう。さまざまな商品を試すも納得するものには出会えず、その中で出会ったのが某有名女優が書いた、石鹸づくりの体験コラムだった。
「石鹸ってつくれるんだ！」という驚きもあり、スキンケアに悩んでいた田嶋さんは手づくり石鹸の使用感に興味を持ち、見よう見まねでシンプルなオリーブ石鹸づくりにチャレンジした。
最初はあまり期待していなかったが、顔を洗ってみた後の「さっぱりとした洗い上がり」と「肌のしっとりふっくらとした質感」が両立できていることに衝撃と感銘を抱き、そこから、田嶋さんの石鹸への探求がはじまった。

田嶋さんは折にふれ、石鹸づくりの中で学んだことを知人に伝えていた。それは、「市販品の洗浄力の強さが、肌本来の力を奪っている」という事実だ。人の肌には肌に潤いをもたらし、皮膚炎を引き起こす細菌を退治する常在菌がいる。しかし市販の洗顔料やボディソープには合成界面活性剤という油汚れを落とすための洗浄剤が配合されており、その強すぎる洗浄力は常在菌も根こそぎ洗い流してしまうのだ。肌が整う環境づくりとして、何よりもまず石鹸からアプローチする必要があると確信していた田嶋さんは、肌に悩める人たちに、まずはこの事実を伝えていくことが大事だと、石鹸を広めることを決意。

娘たちの通う学校のバザーで出品したほか、石鹸作りのワークショップも開催した。実際に、市販石鹸の強い洗浄力によって肌本来の力を奪っていることはほとんどの人にとって衝撃だったようで、多くの方から手作り石鹸の販売を熱望された。田嶋さんにとって日常生活の一部だった自分のための手づくり石鹸が「商品」としての歩みを進めていくことになったのはここからだった。

そこで考えたのは２つの戦略だった。 一つは、よくある「雑貨」扱いの石鹸ではなく、「化粧品製造販売業」の許可を取得した「品質」「安全管理」ともに信頼を得られる「化粧品」としての認可をうけること。もう一つは敏感肌で悩む方の目に触れるように、自身の石鹸を無添加、健康、環境にこだわる商品を取り扱うショップに置いてもらうこと。

まずは、自身の石鹸を「化粧品」として安心して使っていただけるように、「化粧品製造販売業」の許可を受けるべく「総括製造販売責任者」「品質保証責任者」「安全管理責任者」を任命し「化粧品製造販売業」の許可を取るべく奔走した。家族や知人はもちろん、経営者として学ぶ中でできたビジネス仲間や夫の経営者仲間などあらゆる人脈に頼り、ついに「化粧品製造販売業」の許可を取得した工場に委託することができた。そして、その信頼性のもと、無添加、健康、環境にこだわる商品を取り扱うショップからも快く申請を受諾されることにも成功した。