奥飛騨の爽やかな辛味と深山の芳香
飛騨山椒®
「飛騨山椒®」は、奥飛騨特産の山椒を100%原料とした、力強い辛味と痺れ感、そしてフローラル・シトラス・ペパーミントの芳香が複雑に織りなす爽やかな香りが特徴の山椒です。和食にかぎらず洋食やお酒のつまみにも合う力強さが特徴の「飛騨山椒®」は日本が誇る伝統のスパイスです。
日本独自のスパイス&ハーブ「山椒」
奥飛騨の山椒だけが持つ力強い風味
良い商品が生まれる背景には、作り手の熱い想いとこだわりがあります。奥飛騨の山の恵みを受けて育まれた「飛騨山椒®」は、その美味しさを最大限の状態で食卓に届けるために、 “ひと手間かけた昔ながらの製法”を承継しながらも、「新たな山椒の世界」を切り開いています。
奥飛騨の山椒だけの辛味と芳香
香・辛・痺が揃った逸品を継承
有限会社飛騨山椒
代表取締役 内藤 一彦さん
子ども時代は“山椒もり”(山椒の摘み取りを意味する飛騨弁)が夏休みの日課。「飛騨山椒®」は母方の叔父・叔母が二人で創業。昔から山椒は身近にあった。自身は建築業に身を置き、役員も務めたが、高齢になった叔父叔母が相次いで病床に伏したことから、事業を引き継ぐことを決心。「飛騨山椒®」の承継・発展に努め、「ディスカバー農山漁村の宝」に選定され首相官邸にも招かれる。
日本古来のスパイス&ハーブ「山椒」について
山椒は、みかん科の雄雌異株落葉低木で、英名は「Japanese Paper」と呼ぶ。その名の通り、日本最古の香辛料とされており、縄文時代の遺跡の中から山椒の入った土器が発見された、とも言われている。かねてより日本で愛用されている香辛料だが、山椒は体の内側から温めて胃腸の働きをよくするだけでなく、痛みをとる作用もあることから、江戸時代には薬用として用いられると同時に、抗菌作用などもあるため駆虫薬としても利用されてきた。産地により出来が異なり、飛騨でとれる山椒は他の産地の山椒に比べ、芳香と辛味・痺れ感が強く、山椒のバランスの良い強い風味が楽しめるのが特徴。
奥飛騨の山椒は村の宝
この地で自生する山椒の力
岐阜県飛騨山脈(北アルプス)の麓の高原川流域・高山市奥飛騨温泉郷。焼岳や槍ヶ岳が望め、白い雲が湧きたつその地は、かつて「上宝村」と呼ばれた。飛騨山椒につかわれる山椒の栽培はここで行われている。日本国内の山椒の多くはアサクラサンショウとブドウサンショウだが、この地に自生する山椒は、「高原山椒(たかはらさんしょう)」という珍しい品種だ。特に他の産地の山椒とは異なり、その力強く芳しい香り、爽やかな辛味、しっかりとした痺れ感が他を圧倒する。
徳川将軍にも献上された
飛騨山椒の鮮烈な風味
厳しい冬の寒さを乗り越え、夏の強い日差しを受けて、山椒の実をたわわに実らせるこの地の山椒は、柑橘系のシトラスの香りと花のようなフローラルの香りに加え、和歌山や京都などの産地の山椒と比較すると「フェランドレン」という成分が他を圧倒することで、ペパーミントのような爽やかな香りも持ち合わせ、「深山の香り」とも評せられる芳香を生み出す。さらには辛味のサンショオールや香りのオイゲノールなどの成分も濃いことから、バランスの良い鮮烈な風味を生み出すのだ。
かつて、飛騨郡代が徳川将軍に献上したという記録も残るこの奥飛騨で生育される山椒は、その品質の高さから、「山椒の横綱」と評されることもある。飛騨で自生する山椒がなぜこれほどの鮮烈な風味を生み出すのか、その理由はわからない。ただ、この地でしかこの力強い風味は生まれないのだ。厳しい寒さ、夏の強い日差し、この山を吹き抜ける風など、高冷地ならではの、自然の恵みを受けてこそのことだろう。まさに「上宝村」とあるように、この山の上で宝が生み出されているのであろうと、神々しさを感じずにはいられない。
「飛騨山椒」を
叔父叔母から継承し
村の宝を守る
「飛騨山椒®」の始まりは、今から50年ほど前に遡る。有限会社飛騨山椒の代表取締役、内藤さんの母方の実家である神崎家が昭和50年頃、この「飛騨山椒®」のブランドを立ち上げた。内藤さんの叔父の神崎義一さんと叔母の展子さんだ。この村の山椒の唯一無二の風味は日本に誇れるものだと考えたのだ。
当時は、摘み取った山椒を全て農協に納めるのが慣習だった。そんな慣習に反し「名産として飛騨の山椒を天下に広めたい」という大きな志でブランドを立ち上げた二人は、山椒の栽培から山椒摘み、加工まで、昔ながらの手間暇かけた手法にこだわり、飛騨の山椒を商品として創り上げた。年々、その山椒の魅力が伝わり、知る人ぞ知る「飛騨山椒®」として認知もされるようになっていった。
事業が上向きになった頃、高齢だった叔父そして叔母が相次いで病床に伏した。田舎では後継者不足は大きな課題だ。農業離れも加速していた。そんな中、「飛騨山椒®」の承継に手を挙げたのは、他でもない甥の内藤さんだった。「販路もありましたし、作り方も確立されていたから、できるかなと思ったんです。」と口数少なく控えめに内藤さんは話す。
建設会社の役員もしていた内藤だったので、選定眼は厳しかった。他の山椒と差別化ができる圧倒的な優位性を持っていたことが決め手ではあったが、理由はそれだけではなかった。飛騨山椒を継承し発展させることは、生まれ育った場所への貢献にもなり、地域おこしにもなるのではという想いもあったのだ。
先人の知恵を承継
昔ながらの製法はそのままに
事業を承継した内藤さんは、昔ながらの製法はそのまま引き継ぐことにこだわった。「飛騨山椒®」の原料である髙原山椒の木は、土壌に石灰を加える以外、ほとんど農薬は使わずに育てられる。冬を超え、夏の強い日差しを受ける7月~8月の晴天の日に山椒を丁寧に手摘みする。晴天の日に摘むのが香りを落とさない秘訣。摘むのは大変な大仕事ではあるものの、それでも手摘みをするのは、実を傷つけると「飛騨山椒®」の鮮烈な風味が逃げてしまうからだ。
摘みたての鮮やかなエメラルド色をした山椒の実を1日~2日、室内で寝かした後、夏の強い日差しの下で2日程天日干しすると、実が三方に弾けて種がでる。しっかりと水分を飛ばし、この種を除いたら、原料となる山椒粒(果皮)が出来上がる。山椒粉の場合は、安産岩の石臼と杵で餅つきのように山椒を丁寧に突いて粉に仕上げる。摩擦熱によって風味が飛んでしまうのを防ぐためだ。加工場には、清涼感のある芳香が一面に広がり、食をそそる嗅覚を刺激する。どんなに大変でも先人の知恵はやはり出来栄えを左右する。手間暇かけたからこそ、素材の良さを最大限に引き出せているのだ。
ミル付き山椒 赤と青
一大決心で挑んだ新商品が
山椒の可能性を大きく広げる
山椒の作り手だからこそ、山椒の良さは一番知っている。みんなが知らない挽きたての風味を何とかして食卓に届けることはできないか。山椒料理の定番「山椒醤油」「山椒味噌」「山椒ちりめん」などの商品を開発した後、一大決心でミル付きの山椒商品の開発に挑んだ。経験したことのない香りと辛味の鮮烈な印象をみんなに届けたいという想いからだ。山椒の風味をひきたてて使いやすいミルの選定にも苦労したが、新しい発見もあった。山椒粉は石臼と杵で突いて粉にするが、ミルで挽いた山椒は石臼で挽いた山椒とはまた違う新しい風味があったのだ。挽き方の違いで全く香りや辛味の出方が違った。「面白い!」山椒の新しい一面が生まれた瞬間だった。
生産者だからこそ知っている収穫時期による山椒の風味の違いも消費者に届けたかった。流通する山椒の実の多くは、まだ青い果皮の頃、7~8月に収穫される。充分に成熟しておらず、辛味と痺れ感が最高潮の時期のものだ。その後9月中旬まで待つと、さらに赤く完熟した山椒の実は、枯淡の風味とでもいうプレミアムな魅力ある風格を持つ。そこで、まだ若い青い山椒と完熟した赤い山椒の2種類の味を楽しんでもらえるような商品にした。この商品づくりを通して、和食だけでなく、洋食にも合う日本の万能スパイスという奥深い山椒の可能性が大きく広がった。
日本の万能スパイス
うなぎや和食だけでなく
肉・魚・ピザ・パスタにも
現在、「飛騨山椒®」では14種類の商品を製造している。どれも用途に合わせて、好みに合わせて楽しめる。ミル付き山椒の商品づくりのきっかけはフランスでの展示会。日本古来のスパイスとして、山椒はグローバルに受け入れられるものだと思った。それからは、和食だけでなく洋食にも合う「日本のスパイス」という位置づけで商品開発を行っている。評判は上々だ。
お薦めは、「ミル付き粒山椒(青)」「ミル付き粒山椒(完熟赤)」を肉や魚に一振り。「飛騨山椒®」が持つ力強い香りと辛味が、最高のスパイスになるのだ。サラダやカルパッチョなど、素材の味を挽きたてるのにも役に立つ。さらにはピザやパスタでは主役級の存在感を見せてくれる。食卓に常備できるのが嬉しい。もはや「山椒はうなぎに」という時代ではない。アレンジ次第であたらしい食の世界をぐんと広げることができるだろう。
ショップ紹介
有限会社飛騨山椒
〒506-1431
岐阜県高山市奥飛騨温泉郷村上35番地1
岐阜県奥飛騨温泉郷でしか育たない「高原山椒(たかはらさんしょう)」を100%原料とした「飛騨山椒®」の製造販売を行っている有限会社飛騨山椒。生産者の高齢化と過疎化が進む中、地域産業の発展のため、岐阜県などと協力して、山椒の生産量を増やすために接木の講習や山椒を使用した新商品開発も積極的に行ない、未来に高原山椒を残していく取り組みを続けている。