モンゴルの厳しい自然が生み出す最も高品質なオーガニックカシミヤ
QZ No10(キューゼットナンバーテン)
平均直径14~16.5ミクロンという細さと軽さでありながら、驚くほどの温かさと着心地の良さを味わえるモンゴルオーガニックカシミヤ『QZ No10(キューゼットナンバーテン』。極上の肌触りでありながら化学品を一切使用せず、洗うたびに上質な風合いも柔らかさも増していきます。
自然と人と動物すべての命を守る
オーガニックカシミヤ
良い商品が生まれる背景には、作り手の熱い想いとこだわりがあります。古来より、自然や動物を尊い、家畜と共に暮らすことで厳しい環境を生き抜いてきたモンゴルの人たち。そこには、すべての自然と人と、そして動物を守るという崇高な考えがあります。モンゴルには、世界がまだ知らないたくさんの魅力がある。そんな遊牧文化の良さを世界に知って欲しい。閉鎖的で自由のなかった祖国を離れ、世界を自分の足で歩いてきた作り手だからこそ抱く想いが、カシミヤ製品に込められています。
自然のまま使って自然に返す。それが一番いいやり方。
株式会社モンゴルセイ
代表取締役 ガンバートル ザヤサイハン
モンゴル・ウランバートル出身。日本に留学後、民間企業にて貿易事務を経験。モンゴル語・日本語・英語・ロシア語を扱う語学力を国際的な仕事に役立てようと大阪のモンゴル領事館に転職。両国の国際交流に関する業務を幅広く経験した。さらにその後、企業統治(コーポレート・ガバナンス)を学ぶため、単身オランダの大学へ留学。計画通り1年で修了した後、モンゴルのオーガニック商品や伝統工芸品などを広く海外で販売するビジネスを立ち上げる。モンゴル製品にこだわった貿易事業を手掛ける株式会社モンゴルセイの代表を務める。
モンゴルオーガニックカシミヤ
-40℃を下回る極寒の冬を生き抜くため、カシミヤ山羊の中でも最も長い毛(最大38mm~40mm)を持つモンゴルのカシミヤ山羊。他の地域と比べて3倍も長い毛は、圧倒的な柔らかさと耐久性を誇り、「繊維の宝石」とも称されます。中でもオーガニックカシミヤは、漂白も染色もされていない無垢の天然繊維。『QZ No10』では、全生産数のわずか2%にしか満たない希少価値の高い『グレーカラー』を含め、4種類のナチュラルカラーをラインナップ。身につける人への配慮はもちろん、生産~加工~流通に至るまで、すべてのプロセスで省資源化に取り組み、「SDGs/持続可能な開発目標」を支援しています。
英語の教材も満足に与えられ
なかった社会主義時代
「遊牧民の暮らしはとても過酷で、場合によっては放牧のために家族と離れて暮らしている人たちもいるんです」。そう話してくださったザヤサイハンさんは、ウランバートルで生まれ育った後、日本で留学・就職を経験して、再び大学で学ぶためオランダに単身乗り込み、現在の事業(カシミヤ製品をはじめとしたモンゴル製品の企画・製造・輸入・販売)を一人で立ち上げた方である。
なぜ日本でモンゴル製品専門の貿易ビジネスを始めようと思ったのか。そこには、モンゴルから遠く離れた異国で長く暮らした経験を持つザヤサイハンさんだからこそ感じたモンゴルの大きな変化が要因としてあった。
「私たち世代が子どもの頃、モンゴルは社会主義の国でしたから、やりたい勉強はできない、海外の情報はほとんどわからない、当然ながらモンゴル以外の国に行けるなんて夢にも思っていませんでした」。
モンゴル民主化運動は、1989年の終わりから1990年にかけて行われ、わずか数年でさまざまな制度の民主化が進んだ。この頃に多感な時期を過ごしたザヤサイハンさんは、英語を学んでみたいと思い、高校の授業が終わると、こっそり大学に忍び込んで英語の授業を受けて覚えたというから、驚きだ。いかに未知の世界への好奇心が強かったかが伺える。いよいよ進学となった際、英語で学べる大学に進学したいと思い選んだのが、日本だった。大学の授業は英語で受けられるが、ザヤサイハンさんは日本語ができない。大学の入学案内と共に送られてきた学習用録音テープで初めて日本語を耳にしたほどだった。
全く日本語はできないものの、日本での暮らしは相当に快適だったという。大学では経営学を専攻し、4年間で日本語も十分に使いこなせるレベルになっていた。卒業後も日本に留まり、輸出入ビジネスを手掛ける企業で貿易事務として働いた。語学力を活かすには十分な仕事であったが、単純な業務内容にザヤサイハンさんは「1年で飽きてしまった」そうだ。
資源の使い捨てに、慣れてしまったんじゃないだろうか
何か自分に合う仕事がないものかと考えている際、目に飛び込んできたのが大阪のモンゴル領事館の求人であった。日本とモンゴルの架け橋となるような国際交流に関われる仕事ができるかもしれない。モンゴルの民主化の際には、日本から多くの支援が寄せられ、道路や水道、電気、交通網など、民主化運動を通じて両国の関係性が深く強まっていったのだ。そんな国際協力に自分も貢献したいという強い思いがあった。
そして4年間の領事館勤務を終え、ザヤサイハンさんが次に掲げた目標が「企業統治(コーポレート・ガバナンス)」を専門に学ぶことだった。1年という期間内に単位を修得できる大学があるオランダに、単身で乗り込むことになった。そして計画通り1年後、大学を卒業。モンゴルに一時帰国することになった。久しぶりのモンゴル。懐かしい母国の景色であるはずが、ザヤサイハンさんはそれまでに見たことがなかった変化に気づくのだった。
「私がモンゴルで育った頃は、食べ物も配給制になっていて、家族の代表者がもらいに行って、大切に食べていました。でも、一時帰国したモンゴルは、そんな時代とは全く違う社会になっていました。民主化とグローバル化によって、海外からいろんなものが入ってくるようになり、何でも簡単に手に入ります。でも、それはモンゴルの本来の姿ではありません。もちろん便利なものはありがたいのですが、何でも使って終わりになっているのではないだろうか。大量の消費文化に溢れたモンゴルを見て、そう感じたんです」。
ザヤサイハンさんが感じたのは、自然のままに使って自然に返すという遊牧文化が徐々に薄れつつある現実。たくさんのモノを製造して消費して、いつか資源を使いつくしてしまうかもしれない社会は、本来の姿ではないと感じたのだった。SDGsが掲げるさまざまな開発目標をすでに実社会で実践してきたのが遊牧文化である。例えば、遊牧民たちが飼っている羊や山羊から取れるウールとカシミヤは、しっかりと育ててやれば、何度でも毛を刈らせてくれる。他にもあるモンゴルの良い所をもっともっと世界に広めたい。そんな考えから、ザヤサイハンさんは日本でモンゴル製品の貿易事業を始めようと思ったのだ。立ち上げた会社の名前は『モンゴルセイ』。『セイ』は『製』の字からとったもの。オーガニックカシミヤとしてのブランド名は、古代からモンゴルに伝わる9つの宝に続いて、「繊維の宝石」と言われるカシミヤが10番目の宝として守り受け継がれていくように『QZ No10』とした。
自然を身にまとうから
自然な温かさが心地よい
モンゴルセイのカシミヤブランド『QZ No10』では、原材料の調達から物流に至るまで、すべてのプロセスでSDGsが意識されている。扱うカシミヤは、オーガニックカシミヤ100%認証を受けている。モンゴル産のカシミヤ山羊から取れるのはもちろん、糸は織物・編物・縫製のいずれの段階でも染色や漂白がされていない。カシミヤの色は、すべて天然のカラーとなっており、一切の化学品を使用することがない。また、動物に優しい方法で毛が集められ、洗浄や選別、編み上げ前の最終洗浄に必要な水の量も、染色工程が含まれる場合のおよそ1/3にまで抑えられている。
敏感肌の人でも安心して着られるように、タグやラベルは直接肌に触れない部分に配置されるなど、あらゆる人にとって快適な1着になるよう細かな工夫が施されている。サイズはフリーサイズにすることで在庫が残らないように配慮され、梱包や包装も全て紙素材にして、プラスチック素材を0にしているという徹底ぶり。まさにSDGsに対応した製品と言えるだろう。
環境に優しいだけでなくオーガニックカシミヤは、自然が生んだ素晴らしい機能を併せて持っている。モンゴル産のカシミヤは、世界で最も質が高いとされているが、その理由が-40℃という極寒の中でカシミヤ山羊が飼育されているからだ。通常のカシミヤのおよそ3倍もの長さまで毛が伸び、柔らかく耐久性にも優れた品質が特徴。きめ細かく、軽く、暖かいことから、モンゴルオーガニックカシミヤは「繊維の宝石」とも呼ばれているそうだ。
また、デザインに関しては、日本人向けにすべて新しくなっており、幅広い年齢層の方に着ていただけるのが特徴。サイズフリーになっているためどんな体型の人にもフィットするよう、リブに大きめのスリットが入れられていて、それがデザイン的な特徴にもなっている。色は全て天然色。ブラウン・ホワイト・ベージュ・グレーの各色は、山羊から採取した際に混ざらないように厳しく品質管理され、自然のままの風合いと色を楽しめる。
普段着として着て欲しい
「カシミヤ製品を着ていると、毛玉が気になるという方がいらっしゃいます。確かに化学品を使って毛玉ができなくする加工は可能ですが、一度化学品を使ってしまった素材は自然に戻すことができなくなってしまいます」。
ザヤサイハンさんが言うように『QZ No10』ではあえて化学品を使わずに、生地の劣化も風合いの一つとして考えている。カシミヤだからと言って特別な時だけに着るのではなく、普段着としてどんどん着て欲しいともおっしゃっていた。
丁寧に扱うことで、天然素材ならではの風合いが増していくのもオーガニックカシミヤの魅力。クリーニングに出すことはできないため、自宅でのお手入れがおすすめとなっている。とは言え、決して難しい作業はない。ぬるま湯でカシミヤ・ウール用洗剤を使って押し洗いして、洗剤成分がなくなるまですすいだ後、洗濯ネットに入れて1~2分脱水。ハンガーは使用せずに、平らな場所に広げて陰干ししておけば、十分に長く風合いを楽しんでいただける。
現在、モンゴルセイではSDGsが掲げる次の3つを達成するため、事業に取り組んでいる。「目標1/貧困をなくそう」「目標8/働き甲斐のある雇用促進と経済成長」「目標12/つくる責任とつかう責任」。
例えば、カシミヤ製品の流通は遊牧民の生活に大きなプラスとなり、地域の経済活性にもつながっていく。特に『QZ No10』では天然色のまま毛を集めて糸にしているが、大量生産の工場ではベージュもホワイトもグレーもブラウンも全て混ぜてしまい、後の工程で漂白・着色している。天然色のまま採取するのは手間がかかるものの、品質が良く化学品や染料・漂白剤を一切使用しない本物のオーガニックカシミヤを手にできる。当然、化学品を使っていないため、使い終わったカシミヤはそのまま自然に返すことができるので安心だ。自然の力をそのまま借りて、使い終わったら自然に返してあげる。遊牧文化が育んだこの循環サイクルを、あなたのライフスタイルにも取り入れてみてはいかがだろうか。
ショップ紹介
株式会社モンゴルセイ 『カフェ モンゴリア』
〒541-0059
大阪市中央区博労町1-9-9 1F
ナチュラル素材のウールやカシミヤ商品にこだわったモンゴル製品の企画・製造・販売、ホーショールをはじめとしたモンゴル家庭料理を扱う『カフェ モンゴリア』の運営、およびモンゴル家庭料理のチルド製品販売、モンゴル関連イベントの企画・運営などを幅広く手掛ける企業。各事業を通じて、今もモンゴルの繊維産業を支え続けている遊牧民の暮らしや、フェルト加工などの伝統加工技術の継承に貢献し、各方面から高い評価を受けている。大阪場所巡業の際には、モンゴル出身の関取・力士たちも『カフェ モンゴリア』に集うという。