ブランドストーリー

「美味しい」を支える
こだわりのだし

株式会社太鼓亭

代表取締役社長 水上泰輔さん

うどん店「太鼓亭」や関西おだし専門店「だし蔵」を運営する株式会社太鼓亭。だし蔵のおだしは、店の味の基本でもあり、料理の味を決める逸品として、ギフト人気も高い。素材の風味が活きた、優しい味わいの本格だしが生まれる秘密に迫る。



だし文化と日本、関西

素材の旨味が出た煮汁という意味でのだしは、世界中に存在します。しかしながら、昆布と鰹の合わせだしに代表される、乾燥させた原料を用いるだしは、世界でも珍しい、日本の文化の一つと言えます。うま味と香りを加え、素材本来の味を活かす現在の日本のだしは、江戸時代、京都を中心とする関西で大きく発展を遂げました。


煮出すとあたりに広がる上品な香りが、食欲をそそる。
黄金色のおだしは、そのままでも絶品。口に含むと、まろやかな旨味があふれだす。
優しく洗練され、それでいて濃厚な香りと味。それが、太鼓亭のおだしの特徴だ。
お湯に入れて数分煮出すだけの手軽さで、料理の味を1段も2段も引き上げる本格だしがとれる。



だし作りは材料選びから

確かな技と経験を持つ技術者を大阪府が表彰する「なにわの名工」制度。
太鼓亭のおだしは、食品関係では数少ない「なにわの名工」として認定された職人「煮出し師」がひとつひとつの素材を厳選して作る。
たとえば魚選び。
「美味しい魚が、美味しいだしをとるのに適しているとは限らないんです」と水上さん。

「脂が乗った」という表現は、美味しい魚の定型句として使われる。しかし脂は、だしをとるための節にすると、雑味の要因になりうるという。
美味しいだしをとるための魚選びには、美味しい魚を選ぶのとはまた別の、視点と技術が必要だ。
かつお節、そうだ節、うるめ節、さば節など、職人の目で「ベスト」な原料を選ぶ。
どのような味わいに仕上げたいか、目的別に、ブレンドも調整する。
「実店舗を持っているのが、私たちの大きな強みです」と水上さん。店舗での評判も取り入れながら、改良に改良を重ね、現在のだしに行き着いた。



「だしたがるだし」に

特徴である旨味と香りの強さは、製法にも由来する。
鰹節を煮たり蒸したりし、柔らかくしてから削るのが、削り節やだしパック、顆粒だしを作る際の最も一般的なやり方だ。
鰹節はそのままだと非常に固いため、加工しやすくするために水を用いる。
反面、水にさらすことによって風味がだしとして抜け出してしまう短所がある。
太鼓亭が採用しているのは、加工の工程で一切、鰹節を水につけず、削ってから粉砕する独自の製法。加工がしにくく、手間はかかるが、風味が逃げず、濃厚な香りと味を残すことができる。



殺菌の工程にも、手間と時間をかける。
約3時間をかけて、撹拌しながら低温で焙煎。
温度を上げれば、もっと短時間で済ませることもできるが、それだと鰹節本来の風味が飛んでしまう。美味しいだしを作るために、時間と手間は惜しまない。
「製造過程で風味が逃げないよう、徹底的にこだわっているので、だしは『出たくて出たくてたまらない』状態に仕上がっています。初めて水に浸かるのは、おだしをとるとき。だからこそ、短時間で濃厚なおだしが出るんです」



だしパックの形にも、だしが出やすくなるための工夫が込められている。
三角形は、煮立った湯の中でだしパックの中身が踊り、外と触れやすい形だ。
湯と接する面積が大きければ、その分だしを無駄なく、素早くとることができる。



だしパックを熱湯で、4~5分煮出す。
たったそれだけで、本格的なおだしがとれるお手軽さは、大きな魅力だ。
代表商品の一つ「関西おだし」は、鰹節、宗田節、うるめ節、昆布などをブレンドした、優しい味わいの基本のおだし。みそ汁、肉じゃがをはじめ、和風だしの合うものなら、どんな料理にも使えるオーソドックスな商品だ。
「うどんのおだし」は、鰹などのだしに、淡口しょうゆを合わせている。
うどんつゆとしてはもちろん、だしと醤油の味がしっかりついているので、カレー、茶碗蒸し、だし巻きたまごなど、調味料いらずで様々なレシピに応用できると人気だ



「だしは、日本が誇るべき文化の一つだと思うんです」。
肉や魚、野菜など、メインとなる食材の味を消さず、旨味と香りをプラスして、その良さを引き立てる。
「うま味」という言葉がそのまま“umami”として世界に広まったように、素材の旨味を大切にする日本のだし文化は、特徴的なものだ。
うまみの本場といえど、本格的なだしをとるには、時間も労力もかかる。ベストな原料を揃え、だしをとる温度、タイミングといった要素まで考えると、一流のだしを一から家庭でとることは難しい。
「だし一つで、大きく料理の味は変わります。美味しいだしを使うことで、料理が楽しくなり、食事が楽しくなり、生活が豊かになる。お手軽に使える太鼓亭のだしで、そうやって多くの人々に『美味しい』という幸せを届けられたらと思います」。



ショップ紹介

株式会社太鼓亭
〒665-0835
兵庫県宝塚市旭町3-11-10 2F

うどん店「太鼓亭」や、関西おだしの専門店「だし蔵」を運営する。だしにこだわった料理の提供と、だしの販売を行う。2015年には、だし茶漬け専門店を開店。店舗に寄せられる声を活かし、改良を重ねたおだしは、本格的な味わいが手軽に楽しめると人気。